ドイツ文学といえば、フランツ・カフカ。
フランツ・カフカといえば、『変身』。
そう言っても、多くの人が納得してくれるだろう。
それだけ文学の歴史においても重要な作品だと思う。
当然ながら、この「変身」は、さまざまなコンテンツにも影響を与えている。
あくまで一例でしかないが、2024年、文庫化されてとても話題になった『百年の孤独』。
その作者であるガルシア・マルケスは、変身を読んで、衝撃を受けて、作家になることを決めたと語っている。
また、アニメ化もされた僕の大好きな漫画「怪獣8号」。
この漫画は日比野カフカという青年が、怪獣に変身するという、まさしくカフカの変身をオマージュしている設定の物語だ。
この物語は、グレゴール・ザムザがある日、突然虫になるところから物語が始まる。
そして、この虫になったザムザと父、母、妹の物語。
この「変身」の好きなところは、とにかく冒頭。
ザムザが虫に変身するのだが、全然大袈裟な表現がない。
本来なら、「え?!俺、虫になってるじゃん!!」
といった主人公のリアクションがあってもおかしくない。
だって、虫になっているんだから。
僕だったら、「君の名は。」的な表現。
「私たち、入れ替わってる〜〜〜!!!!」といったぐらい大胆に、虫になった驚きを表現するはずだ。
しかし、カフカはそれをしなかった。
だからこそ、虫になった時点で、ザムザの魂がもう虫であることが伝わってくる。
これが本当にすごい。
ちなみに、ザムザという名前は、カフカのもじり。
ザ・ム・ザ。
カ・フ・カ。
交互に口に出してみると、全く同じ韻。
ザムザはカフカ本人といったことも言われるけれど、その点も、カフカの遊び心がとても素敵だ。
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