何十年というほどでもないですが、かなり昔、私は学生のときに、近所のTSUTAYAで、目についた小説の冒頭だけを片っ端から読んでいくっていう謎の趣味がありまして、
この『風の歌を聴け』の冒頭を読んだときは、ほんとうに背骨が砕けそうになるくらい衝撃を受けたのを鮮明に覚えています。
それで、家に帰って、小説も読んだんですけど、本当に面白すぎて、ぶったまげてしまい、そこから、村上春樹さんが大好きな作家の一人になりました。
ちなみにこの冒頭は、めちゃくちゃ紹介したいなとも思ったんですが、読み返していたら、やっぱり小説でみた方が楽しいかなと思ったので、あえて割愛しようかなと思います。
この「風の歌を聴け」という物語はですね、主人公の「僕」が大学生の夏休みを思い出して語っているお話。
主人公には地元の友人で「鼠」というニックネームの男がいて、ある年の長期休暇で帰省しているときに、「鼠」と過ごして、あんなことがあった、こんなことがあった、みたいなエピソードがちょっとずつ散りばめられた回想録です。
もう、この僕と鼠の掛け合いとか、登場人物のちょっとした仕草とか話し方とかが、本当に楽しくて、もう読みながら終始、ニヤニヤしてしまってですね、初めて読んでからかなり年月が経っているんですが、いろんな情景が記憶に刻まれいてとても印象に残っています。
ちなみに、この僕と鼠の二人は村上春樹さんのシリーズものとしても有名で、鼠3部作とか、僕と鼠シリーズといった形で、とてもファンも多いシリーズの第一作目でもあります。
今では、文体を肉体改造と言いますか、とても密度が濃くて、すごい洗練された文体という印象もある村上春樹さんの文章なのですが、デビュー当時の青々しくて、瑞々しい文体が、軽快で、もう思いのままに文章を書いている感じもあって、すごい心踊らされるんですよね。
ビートルズとか、テイラースウィフトとか、音楽も初期のアルバム聴くと、やっぱり独特の温かみとか勢いがありますよねそういった爆発力を、とても堪能できる作品だなと思います。
もし『風の歌を聴け』を面白いと感じられた方は、1973年のピンボール、羊をめぐる冒険、そしてさらに続編の「ダンス・ダンス・ダンス」もめちゃくちゃ面白いので、読んでみてもらえたら嬉しいなと思います。
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