ドストエフスキー作品の中でも、読みやすく、かなりポップな作品が『賭博者』。
カラマーゾフの兄弟、罪と罰を読んで、その難しさや長さに発狂しそうになった方でも、きっと楽しんで読めるはずです。
また、この賭博者は150年前に書かれた作品でありながら、現代の日本社会を映す鏡とも言える作品ではないかと思います。
簡単なあらすじは
ルーレッテンブルクという架空の街で、主人公アレクセイが、破綻しかけている将軍の遺産相続をめぐる問題に出くわすんですが、その遺産やら将軍の経済事情と、ギャンブルが綿密に絡んで、様々な騒動を起こすという、カジノ小説。
とにかく大金に群がる人間模様が本当に面白いのはさることながら、ドストエフスキー自身が、極度のギャンブル中毒だったために、本当にギャンブルのおそろしさ、賭けごとで起きる、人間の深層心理や感情の動きがめちゃくちゃリアルに描写されているのです。
現代では、人間の脳もある程度科学的に研究をされていて、中毒はドパミンという神経伝達物質の影響であるということがわかっていますが、本当にドパミンの存在って、めちゃくちゃ脅威だなと改めてこの小説を読んでいて感じました。
そう言った意味で、個人的に、この賭博者はドパミンがいかに人生を支配するか、一瞬で狂わせるのか、それを確かめるためのドパミン小説だなとも思ってしまう。
さらに、ドストエフスキーの作品の中でも特徴的な作品としても有名な本作。
この作品を書いた当時、罪と罰という作品を連載してからというもの、作家としての名声を得ていたドストエフスキーだが、
有名にはなったものの、とんでもない借金があって、借金を苦にして、やばい悪徳業者との過酷な契約をしてしまっていたために、もう人生終わりかという状況。
その契約内容が、ある期日までに新作を一本書いてもらえないと、以後9年間、全てのドストエフスキー作品の権利をうちがもらうからね、みたいな鬼畜な契約だったんですけど、期日寸前になってもドストエフスキーは全く小説をかけておらず、
そこで、速記記者をしていたアンナという若い女性を紹介してもらい、自分が話している内容をそのまま文章に起こしてもらうかたちで、26日とか、27日とか、それぐらいの日数で、期日前日にギリギリ書き上げたものを提出して、なんとか、危機を脱出するというミラクルで出来上がった小説なんですよね。
しかも、そのアンナとは後日、20歳以上、年が離れているんですが、2回目の結婚をしまして、そのアンナがね、その後のドストエフスキーを作家として大成に導くという、
彼にとっては、2番目の妻アンナと出会えたという意味でも、とてつもない意味を持っている作品なのかと思います。
とっつきにくい印象もある、ドストエフスキーの作品の中でも、この賭博者はかなり短い作品でもあり、難しい宗教的なお話とかもなかったり、登場人物が少ない作品なので、かなり読みやすくて、ドストエフスキーの作品を初めて読んでみるにしても、とてもぴったりな、おすすめの作品だと思います。
個人的には、物語の中盤から、あるおばあちゃんが出てくるんですけど、彼女がめちゃくちゃキャラ強で大好きなんですよね。
ドストエフスキーの作品を読んでみたいけど悩むという方は、短くて楽しみやすい作品なので、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
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